さっそくですが3次の魔方陣を用意しましょう。ではここでもう一つ、これと同じサイズの奇妙な配列を持つ格子体をご紹介したいと思います。
内部格子数をごらんください。正負の数がいりまじり、しかも分数だらけです。いったい、この格子体は何でしょうか? その正体は3次魔方陣と行列の積でかけあわせてみると明らかとなります。
そうなのです。ここで生成されているものは単位行列。魔方陣をこのような姿へと変えてしまうような格子体が存在するとは驚きではないでしょうか? またこの関係においては行列の積を入れ替えてもそのまま成立します。
わたしたちはこのような魔方陣と単位行列を媒介する格子体を今後、しばらく研究対象としたいと考えています。というのも、この種の格子体にもじつに美しい構造が秘められているからです。たとえば、いま見ている単位行列変換格子体について「たて」「よこ」「ななめ」の総和をとってみるとどうなるか?
ごらんのとおり、すべて同じ数で揃っています。つまり単位行列変換格子体自体も魔方陣構造を有しているということです。またここで定和としてあらわれる1/15という数は、3次魔方陣の定和である15という数の逆数となっているのも興味深い事実でしょう。
さて、3次の魔方陣というのは実質的に一種類しか存在しませんが、これよりワンサイズ大きな4次の魔方陣の世界には魔方陣というのは880種も存在しています。そしてその中で考察に値する完全魔方陣や対称魔方陣や正規相愛魔方陣においては残念ながら単位行列変換格子体は存在していないようです。なぜ、そんなことが言えるのか? 興味のある方はぜひ、コチラの動画をごらんください。