今回もひきつづき、8次正規相愛魔方陣の0度×90度回転体の構造にフォーカスしていきます。
さて、8次正規相愛魔方陣の0度回転体と90度回転体を行列の積でかけあわせると次のようになります。
そして、この格子体の内部は同一数によって以下のように八色で均等に分けることができることは前回にも確認しました。
ここで各グループを色ごとにバラして一覧すると、
はい。これらの柄には、じつに興味深い共通点があり、 どの行、どの列についても色付きの格子は一つづつしか存在していないという配置になっていることがわかります。わたしたちは今後、このような配置を「完全バラバラ配置」と呼ぶことにしましょう。
さて、それ以外にもこれらの格子柄は特筆すべき性質を宿しています。この空っぽの格子体たちに対してイチゼロ変換をこころみてみましょう。イチゼロ変換とは色付きには1を、それ以外には0を置く、ただそれだけの操作です。
はい。これでようやく行列らしくなりました。まず、これら八つのイチゼロ変換体において特別な存在として指摘しておきたいのが、ブルーの格子体です。
はい、これは8次単位行列にほかなりません。単位行列とは数の世界における1のような存在。この事実はまず確認しておきたいと思います。ではその上で、残るイチゼロ変換体の中から∙∙∙
イエローの格子体を選び、行列の積で2乗してみることにします。
なぜ、いきなりそんなことをするのか? はい、面白いことが起きてくれるのです。こちらをごらんください。
わかりますか。1がきれいに一直線上にならんでいます。なんとイエローのイチゼロ変換体は、みずからにみずからをかけあわせることによって単位行列へと姿を変えることができるということです。
ということで、イチゼロ変換体(イエロー)は単位行列2乗根体であることが判明しました。そして驚くべきことに、他の残りの6種類のイチゼロ変換体についてもしらべてみると、
そうなのです。偶然なのか、必然なのか、これらもまた2乗して単位行列になる格子体たちなのです。
さて、ブルーの単位行列も2乗して単位行列のかたちをキープします。ですから、わたしたちが見ている8種のイチゼロ変換体は、いずれも2乗すると単位行列になる、という奇妙な共通点を有しているということになります。