今回は8次正規相愛魔方陣の0×90度回転体の同数構造を使って、種も仕掛けもないマジックのような現象をご披露してみたいと思います。
おさらいしておきますと、この行列の積を実行すると以下のようになります。
おぼえていますか。この64個の格子数は重複する数で均等に分割することができ、同じ数ごとに色分けすると、
はい、このような柄が浮かびあがるのでした。そして、わたしたちはこの柄に対しイチゼロ変換をほどこし、8種類のイチゼロ変換体を手にしました。
まずもって重要なのはブルーのイチゼロ変換体は単位行列であり、それ以外の7種のイチゼロ変換体については、いずれも2乗すると単位行列になることがたしかめられました。
さて、この事実を踏まえた上で、今回はこの8種のイチゼロ変換体同士の相互の関係を徹底的に調べ上げたいと思います。わかりやすくするために、それぞれのイチゼロ変換体に番号をふっておきましょう。
はい、そして行列の積の演算表を作成していきます。どれとどれをかけあわせるとどうなるか、ということを調べていくのです。まず、みずからにみずからをかけあわせると単位行列になるという事実から、
このななめのラインにはすべて1が記入できることはすぐにわかります。問題はそれ以外の空欄。これを埋めていくには実際に❶〜❽の異なるイチゼロ変換体同士をかけあわせてみなくてはなりません。もちろん、その積の結果が❶〜❽のイチゼロ変換体のいずれかのかたちになる保証もありません。案ずるより産むが易し、とりあえずやってみることにしましょう。
はい、大変に嬉しいことに、すべての空欄に数を入れることができました。つまり、イチゼロ変換体❶〜❽は行列の積という演算において閉じた世界を作っている、そのようなことが明らかとなります。またこの積表において同じ数(イチゼロ変換体)は同じ数(回数)だけあらわれます。色分けしてみると、
はい。こうなります。どうぞ、ようくみてみてください。この柄、どことなく見覚えはありませんか? 柄だけに注目するために数にはどいてもらいましょう。
はい、そうです。ここで見ている柄は、イチゼロ変換体の生みの親たる存在である8次正規相愛魔方陣の0×90度回転体の同数構造そのものとなっています。
いろいろ歩き回ったあげく、なぜかふたたび、もとの場所にもどってしまった。そんな不思議なことが起きてしまったのです。