今回はプレーン超格子体変換とイチゼロ変換という手法を駆使し、9次正規相愛魔方陣にひそむ、その驚くべき内部構造を明らかにしてゆきます。
まずは、この9次正規相愛魔方陣を「よこ」方向に9分割しましょう。わかりやすいように色分けします。
そして、この色ごとに区分された9数について、プレーン超格子体変換を行なっていきます。
プレーン超格子体変換というのは難しい操作ではまったくありません。正規相愛魔方陣の格子数とプレーン超格子体の格子数を対応づける、というだけのことです。
たとえば正規相愛魔方陣の第一行目をプレーン超格子体(1〜81の数をただ順番にならべただけのもの)の中で見ると、
このようになります。このような操作をすべての行でやってみると、
わたしたちは上記のような9種の柄を手に入れることができます。では、プレーン超格子体変換が完了したところで、今度はイチゼロ変換です。これも何も難しい話ではありませんのでご安心ください。「よこ」一行目をプレーン超格子体変換したこの柄を例にとることにしましょう。
はい。イチゼロ変換とは、色つきには1をそれ以外には0を置く。ただそれだけのことです。じっさいにやってみるとこうなります。
こんなことをして、いったい何が嬉しいのか? じつは、いまここに見ている格子体(正方行列)は「行列の積」で4乗すると単位行列になるという興味深い性質を有しています。
留意すべき点は、4乗してはじめて単位行列になるということです。このような行列をわたしたちは今後、単位行列の原始4乗根体と呼ぶことしたいと思います。
そして驚くべきことに、ブルー以外のイチゼロ変換体についても調べてみると、
なんとそのすべてが単位行列の原始4乗根体であることが判明します。いや、そればかりではありません。「よこ」分割でなく「たて」分割に話を変えましょう。「たて」分割グループについてプレーン超格子体変換→イチゼロ変換を行なうと以下の9種類の格子体を得ることができ、
これらを正方行列とみなして行列の積で累乗してゆくと、なんと、いずれも4乗してはじめて単位行列。揃いも揃って単位行列の原始4乗根体なのです。
はい。「たて」「よこ」を見たならば、「ななめ」についても見ておかなくてはならないでしょう。「ななめ」の2本のラインをプレーン超格子体変換→イチゼロ変換するとこうなります。
そして、これらもまた例にもれず、4乗することによってはじめて単位行列になります。
この不思議な整合性をわたしたちはどのように解釈すればよいのでしょう。単位行列というのは数の世界でいうところの1。4乗してはじめて1となるような数は何であるか。みなさんにも心当たりがあるはずです。
もしかしたら、わたしたちが見ているのは行列の世界における「虚数」なのかもしれません∙∙∙。