魔方陣の数学

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【完全魔方陣連結線と汎対角線イチゼロ変換体】

4次魔方陣は連結線模様によって分類すると12のタイプに分け切ることができますが、この中でもひときわ強靭な構造を所有していると思われるものが❶型となります。

 

この❶型は完全魔方陣とも呼ばれており、全部で48種存在しています。

 

 

念のため完全魔方陣がなんであったということを思い出しておくと「たて」「よこ」のあらゆるラインの四数総和が一致することに加え、以下のような汎対角線ポジションにおける各四数の総和もまた一致しているというのが、その成立要件となります。

さて、今回はこの汎対角線を用いて、一つ面白い事実をお示ししたいと思います。いいですか、汎対角線をベースにイチゼロ変換体を準備します。

 

イチゼロ変換体とは何か? むつかしく考える必要はありません。イチゼロ変換というのは柄のついた空っぽの格子体に対して、色つきには1を、それ以外には0という数を置く操作のことです。たったそれだけのことです。では、ここでわたしたちは、この8種のイチゼロ変換体の中から、一つを選びます(どれを選んでもかまいません)。

 

次に完全魔方陣からもサンプルを適当に一つ選び、これに対し、上記のイチゼロ変換体を行列の積でかけあわせてみることにしましょう。

 

イチゼロ変換体を後ろからかける場合と前からかける場合の二つのパターンを併記していますが、それぞれ結果は異なっています。しかし、どちらも1から16という連続する自然数によって構成された格子体となっていることに気づかされます。興味深いことにこれらは「たて」「よこ」「ななめ」の総和をとるとすべてのラインにおいて一致(総和34します。そうなのです。方陣構造は維持されているのです。いや、そればかりではありません。

 

 

ここに生成された魔方陣において二数の総和が17となるような格子数同士をラインで結ぶと完全魔方陣の連結線模様があらわれることになります。これは驚きではないでしょうか。さて、わたしたちは、たまたま上記のようなイチゼロ変換体や完全魔方陣を選んでいますが、このようなことが起こるのは選び方によるものではありません。

 

 

この領域で起きていることを簡潔にあらわすとこのような等式に集約されます。つまり、完全魔方陣構造をもつものにどのような汎対角線イチゼロ変換をかけあわせても、そこで生成される格子体もまた完全魔方陣である、そのようなことが言えるのです。

 


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