魔方陣の数学

Welcome to the world of magic squares

【弱い魔方陣構造】

さて、四次正規相愛魔方陣を「行列の積」で2乗すると何が起こったか、ということを今一度、思い出しておきましょう。

わたしたちは、このようにして得られた格子体の内部格子数の構成が、

ごらんのように「たて」「よこ」の四数総和がいずれも1156という数で一致するという事実を見ました。ちなみに1156という数は34の2乗数であることも特筆しておくべきでしょう。

しかし、ここで重要なことは「たて」「よこ」の四数総和が一致するということよりも、むしろ、「ななめ」における2本のラインの四数総和が一致していない、ということなのです。

はい。両者は1076と1236で不一致。よって「ななめ」の相愛力は0。厳しいようですが、これでは魔方陣構造とは呼べません。ですが、このような構造も、完全に打ち捨てるのは惜しいので、わたしたちは「弱い魔方陣構造」と呼んでみることにしましょう。

このような構造もまた、今後たびたび出てきます。いずれ魔方陣構造についてはもっと厳密にカテゴライズするつもりです。当面は「通常の魔方陣構造」「正規魔方陣構造」と、この「弱い魔方陣構造」の三つの区分けで充分、事足ります。

さて、「弱い魔方陣構造」を持つものとして、他にも紹介したいものがあります。そのためには、はい、こちらの回転体ファミリーに協力してもらいましょう。

わかりますか。これまで見てきた正規相愛魔方陣を0度回転体として、それらを時計回りに、90度×n回転させたものがここには勢揃いしています。では、この中から、

とりあえず、この二つをチョイスしたいと思います。0度回転体と90度回転体です。さっそくですが、これらを行列の積でかけあわせてみます。

はい、このような積によって生成された格子体についても、「たて」「よこ」の四数総和をチェックしてみますと、

なんと、すべて1156(34の2乗数)で揃っています。ちなみに「ななめ」がどうなっているかというと、

こちらは残念ながら不一致。ですので、これは2乗体(0度回転体×0度回転体)と同構造。つまり、「弱い魔方陣構造」ということになります。

どうでしょう。またも、このような「弱い魔方陣構造」を見つけることができたのは、わたしたちがたまたま0度回転体と90度回転体という二つを選択したからなのでしょうか?

回転体ファミリーは全部で四種類あります。この中から好きに2つを選ぶ方法は他にもたくさんあります。また積の順序を変えると生成される格子体の内部構成も変わります。それぞれの結果がどうなるか、たしかめてみるだけの価値はありそうです。

 


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