さて、前回、わたしたちは3次魔方陣に組み込まれた相愛力構造というものを見ました。
今回は、3次魔方陣の行列積の累乗体が上記の相愛力構造を保存するという事実をお話しさせていただきたいと思います。まずは、2乗体から見てゆくことにします。
3次魔方陣を3次正方行列と見立て、行列の積という演算を実行すると、
このような格子体が生成されます。じっくりごらんください。わかりますか? ここではちょっと面白いことが起きているようです。ここにあらわれている内部格子数は67と91というたった二種類の数だけ。色分けすると、
はい、このようなが柄があらわれます。ここでは詳しく述べませんが、じつはこの二色柄の中には美しい比が隠されています。興味のある方はこちらの動画をごらんください。
さて、この2乗体については「たて」「よこ」の総和をとると、いずれも一致します。いずれのラインにおいても、91が一つ、67が二つという組み合わせになります。残念ながら、ななめ方向の二つのラインについては総和は一致せず、ここで見ているものは弱い魔方陣構造ということになります。
しかし、ここで重要なのは「たて」「よこ」のすべてのラインで三数の構成が同じということです。つまり、ここでは相愛力無限大のちからが発現しているこということになります。
1乗体(オリジナルの3次魔方陣)が有していた相愛力構造がキープされていることに、わたしたちは注意をはらうべきでしょう。では、次に、
3次魔方陣を行列の積で3乗します。
こちらが3次魔方陣の3乗体となりますが、2乗体とは異なり格子数はきれいにバラけています。こうなると内部構造も崩れ去ってしまうのではと危ぶまれますが、こちらをごらんくだい。
そうなんです。しらべてみると、第一列と第三列の三数の二乗数総和も、第一行と第三行の三数の二乗数総和も一致していうことがたしかめられるのです。つまり、ここでも1乗体(オリジナルの3次魔方陣)が有していた相愛力構造が見事にキープされているのです。
これ以降、(2n)乗体は2乗体、(2n+1)乗体は1乗体の相愛力構造を倣うことになるようです。このような行列積3乗体における構造継承の事実を鑑みると、3次魔方陣は正規相愛魔方陣ではありませんが、それに準ずる性質を備えているものとして、今後、取り扱う必要がありそうです。