今回は二つの正規相愛魔方陣を使って面白いものをお見せしたいと思います。
はい、この正規相愛魔方陣 Ⅰ 型と Ⅱ 型のうち、Ⅱ 型の方をクルっと左右反転させます。
はい。これで準備完了。ここから何をするのかというと、
わかりますか。Ⅰ 型から Ⅱ 型の左右反転体を引き去ります。するとこのような結果が得られます。
パッと見たところ、ここにあらわれる数は±4と±8のみ。しかも、特筆すべきは「たて」「よこ」「ななめ」のいずれのラインにおいても±4と±8の四つの数がならぶという嬉しい配置になっているということです。つまり、表現を変えると「たて」「よこ」「ななめ」の総和はいずれの方向においても0になるということです。
では、この事実を踏まえた上で、この格子体を行列の積で2乗します。
ごらんください。ここに生成された格子体の中には±48。正の数と負の数を色分けすると∙∙∙
はい。このような柄があらわれます。ちなみに、この柄は正負反転体でいうところの16型に該当しているようです。
もう一つ興味深い事実として指摘しておきたいことは、この格子体においても「たて」「よこ」「ななめ」のいずれのラインにおいても四数の構成は同じ。具体的に示すと、48が2個と-48が2個。
つまり「たて」「よこ」「ななめ」の総和はいずれの方向においても、やはり0になるということです。偶然なのでしょうか。いや、もっとすごいことが起こるのは3乗体においてです。
はい、行列の積で3乗します。すると生成される格子体は∙∙∙
どうでしょう。格子体の内部格子数はすべて0になってしまいました。はい、いま、見ているのはまぎれもなく零(レイorゼロ)行列。
はい、このように、冪乗をして零行列になるような正方行列を、線形代数の世界では冪零行列と呼んでいます。