魔方陣の数学

Welcome to the world of magic squares

【行列の積とアダマール積を結びつける恒等式】

今回は、8次の正規相愛魔方陣の16分割構造を見ていきたいと思います。

この魔方陣がなんであったかというと、「たて」「よこ」「ななめ」においては1〜2乗数総和が一致するという二重魔方陣の構造がベース、かつ、「ななめ」については3乗数総和までもが一致。このような事実を相愛力として❤︎であらわしています。具体的に「ななめ」にならぶブルーとピンクの8数同士の関係を示しますと、

このように1〜3乗数総和が一致しているので、8-8相愛数❤︎❤︎❤︎と表現されるわけです。

さて、前回は正規相愛魔方陣の四分割構造を考察しましたが、今回は、さらにこまかく16分割することにします。

そして、各ブロック格子(2×2)の内部格子数の総和をとります。

こうなります。これをふたたび、4×4の格子体のかたちにもどしましょう。


面白いことに、ここにあらわれる数は、114と146のたった2種類だけのようです。わかりやすくするために色分けしてみます。

こうなります。興味深いことに、この格子体においては「たて」「よこ」「ななめ」は、いずれも114が2個、146が2個という構成になるので、魔方陣構造になっていることが確認されます。

 

さて、ではここで、この格子体(4×4)を使って、面白いことをこころみてみたいと思います。以下をごらんください。

はい、このように格子体を2枚にし、一方を時計回り(反時計回りでもかまいません)180度回転させます。そして、これら二つの格子体を、

はい、それぞれ4×4の正方行列とみなして足し合わせます。すると、

はい、ごらんのとおり、すべての格子に260という数があらわれます。奇しくもこの数はもともとの正規相愛魔方陣の定和、つまり、「たて」「よこ」「ななめ」における8数総和と同じものとなります。

 

さて、では、このような事実を踏まえた上で、今度は「行列の和」という演算を「行列の積」という演算に入れ替えます。

この演算の結果がどうなるかというと、こうなります。

はい、ここでも格子数の総和は、きれいに統一されています。すべて67600という数になっていますが、この数は驚くべきことに、

はい、260の2乗数としてあらわすことができます。ちなみに、「行列の積」という演算は積の順序を入れ替えると結果が同じになるとはかぎりませんが、この場合においては、

このように180度回転体の方を先頭に持ってきても、積の結果は、

はい、前者のものとまったく同じとなります。今回、見てきたことをまとめますと、わたしたちは、このような関係式を示すことができるようです。

 

 

「行列の積」と「アダマール積」という性質のまったく異なる演算がなぜかここでは気持ちよく安らいでいるように見えます。

 


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