今回は三次魔方陣とプレーン超格子体が共有している構造についてご紹介させていただきます。
前回もお話ししましたが、この3次の魔方陣には次のような回転体ファミリーというものが存在しています。
それぞれ時計回りに90度×n度回転させたものですが、じつはこれら四つの回転体たちは行列の積という演算を介して、
このような驚くべき関係を築いているのです。この恒等式の美しさは
0度回転体を軸として、すべての回転体が勢揃いしているところでしょう。さて、この恒等式の有している形式は強靭です。というのも、
通常、行列の積という演算は積の順序を入れ替えると、同じ結果を約束しませんが、この等式にかぎっていえば、
行列積において先行している0度回転体を、後ろにもってきても、
なんと等式はバランスを失いません。それどころか、ここで行列の積を
思い切って行列の和に変更しても、バランスは維持されたままです。
そして、さらに行列の和から行列の差に置き換えても、
やはり左辺と右辺はつりあうことになります。どうぞ、ご自身の手で計算してたしかめてみてください。さて、以上の事実を踏まえた上で、申し上げたいことは、このような恒等関係をつくりだすのは三次魔方陣ばかりでないということです。
はい、こちらはプレーン超格子体となります。1から9の自然数がただ順番にならべただけのものです。どこからどうみても魔方陣とは異なる外見を有しています。しかし、このような格子体についても、
回転体ファミリーを通して、まったく同じ関係が見出されるのは実に奇妙なことです。